島国の表象、人々の表情
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いわゆる民間文学とは、先住民の感じ取った感情を詩に詠う時の想像力の統計であり、宇宙万物を思惟する際の一つの答えでもある。それと同時に大衆の思想や行動の無形の支配者でもあるのだ。

— 李献璋『台湾民間文学集』

日本統治初期においては、旧慣調査目的にして台湾民間の歌謡が収集されており、例えば『台湾慣習記事』(1901〜1907)や平澤丁東『台湾の歌謡と名著物語』、戦争時期では台日共編の『民俗台湾』がある。日本側は民間材料の整理をとおして、台湾人の生活の様子を把握しようとしていた。しかし一方で、台湾人作家が自分の土地と人々の生活に注目することで生まれた民間文学は、一般大衆の反響を呼んでおり、これは台湾人の民間文学が在台日本人の民間収集より優れていることの証明になり、1930年代の台湾文学の発展の道程でもあった。この時期に、新聞において郭秋生、黄石輝、賴和、荘垂勝らは民間文学の収集と創作の重要性を呼びかけていた。1936年になると、その集大成とも言える李献璋『台湾民間文学集』が出版され、台湾文学の発展に重要な道標を示した。