一歩ずつ、お互いの土地を訪問する
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「天涯近隣の如し」のように進んできた「グローバル化」の時代では、国と国の距離が縮まり、旅行することもまたファッションの一つとなった。遊牧のような速い移動の中での、未知の異国の環境や気候の変化、旅の途中に出会った人や物事など、そのどれもが旅人の視界に衝撃を与え、内的世界の感応とバランスを混乱させ、自己と他者の差異を意識させるのである。日本植民地時代には、台湾で旅行を行う日本人―皇族や学者、エリート達などが後を絶たなかった。近年になると、台湾人が日本を旅行するのがブームとなった。遠いようで近い旅の経験は台日間でどのような触れ合いをもたらしたのか。「一歩ずつ、お互いの土地を訪問する」というコーナーで、作家、文学者・歴史家、文化観察者達の残したテクストの痕跡をとおして、台湾と日本の間における自然風景および民俗文化、風俗、文学、思想の集大成を覗いてみよう。